第21話
ダルクはそんな俺を不思議そうに見やりながら、言う。
「──この家は、過去はどうあれ、今人が住んでいるという様子はない。
ほこりも積もり、食卓もずっと昔に放っておかれたまま。
なのに君はそれらにはまったく構いもせずこの部屋にいて、きれいに着飾ってまでいる」
きれいに着飾って、って言葉に俺は心の中で『どーも』と付け加えておいた。
どうやらこいつもこの家に入ってすぐ、俺と同じものを見たらしい。
ほったらかしのテーブルの上の食事も、そこここに積もったほこりも。
ダルクはいう。
「君はこの家の人間じゃないだろう。
どういう所以でここにいるのかは知らないが、そのゴルドーという人物に関係があるのか?」
ぎくりと、俺は思わず身を固める。
どうしたもんか、たぶんこいつは適当な嘘であしらえるほど頭が悪くはねぇみてぇだ。
俺は仕方なく肩をちょっとすくめる。
そうして一つ咳払いして──もちろん女の子らしくな──なるたけ簡潔で、嘘の少ない話を話すことにした。
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