第18話

◆◆◆◆◆



「はっはっはっー!どーよ、これ!」


と、ジャーンと華麗にポーズを決めて、俺は鏡の前に立つ。


そこに映ったのは、どこからどー見ても可愛らしい、美人の女の子だった。


ふわっとカールさせた金髪には白いリボンを。


水色のワンピース姿はちょっと見た感じ、いいとこのお嬢様って感じだ。


薄めに化粧もしてるし、まつげもいつもの二倍増しだ。


いつもの俺とはもちろんかなり印象が違う。


「まっ、こんだけうまく化けてりゃバレねぇだろ!

これで大手を振って街を歩けるぜ!」


だっはっはーっと鏡の前で笑ってやる。


──と。


がたり、とこの家のどこかから物音が響いた。


一瞬借金取りの仲間か?!とヒヤリとしたが……


~ま、このナリなら大丈夫だろ。


この素敵変装、見破れるもんなら見破って見やがれ!


自信たっぷりに思い、すました顔でその辺の椅子に座る。


足音が、上の階に上がってきた。


足音は一つで、思ったよりは軽い。


ただし。


──帯剣してやがるな。


思わず口をへの字に曲げる。


俺は耳もかなりいいんだ。


今までゴルドーの手先から逃げる途中の経験からしても、こいつは信用していい。


階段を上ってくるのは、小柄な女ってとこだ。


それも、足音を立てねぇように慎重に足を運んでやがる。


まあまあ剣も扱えそうだな。


あっ、でも美人のお姉さんだったらナンパしたかったなぁ。


ちらっと頭をよぎったが、バッチリメイクをすぐに落とせるわけでもねぇ。


悔しいが。


な~んて事を考えてると。


足音が、この部屋の前で止まる。

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