第17話

ま、しばらくはここに身を潜めて様子見るしかないな。


そう、考えた俺の脳裏に。


ピコン、とひらめくものがあった。


俺はパッと立ち上がってクローゼットに手をかけ、半身だけでドレッサーの方へ…正確にはその鏡の方へ振り返る。


男の割には細身で、顔立ちも細い自分の姿が正確にそこに映し出される。


この瞬間……何で んな事を思いついたのかは、今となっても分からねぇ。


俺は、この頃切りそびれて少し長くなっちまった、一つくくりの髪をほどき、クローゼットの中から適当に服を取り出す。


水色の、清楚なワンピースだった。


そうして鏡に挑戦するようにそいつを自分の顔の下へ持ってくる。


にっこり微笑んで見せると、鏡の中でも、若い娘にも見えなくはない美人が、にっこり微笑み返した。


──もしかしたら、イケるかもしれねぇ。

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