第15話

まったく、飲み終わった瓶だけ丁寧に残しとくってどーいう趣味なんだよ。


がっくりしながら瓶を戻して、俺は改めて部屋の中を見回す。


ふかふかした絨毯に、高級そうな家具。


何で空のワインボトルを んなとこに置いたのかは謎だが、元々このワインたちも見るからに高そうな代物だ。


ここには金持ちが住んでたんだな。


どんな理由でここを出ていったのかは知らないが、食事の状態といい、いきなり思い立ってどこかへ出たんだろう。


少し席を外しただけだったはずが、そのまま永遠に帰ってくることがなかった。


そんな風だ。


ま、どこに行ったんだか知らねぇが…こいつは案外“あたり”かもな。


ワインはだめでも、金目のもんくらいはあるかもだぜ。


こういうことに関しちゃ、俺は運がある方だ。


ゴルドーの手先から逃げる途中、こんな金持ちの家に潜り込んじまったのも何かの縁だ。


よーし、ちょっと調べてみるか。


俺はいそいそと二階への階段を探して上り、上階へ上がる。


上がるとすぐにまっすぐな廊下が伸びて、廊下の両側には二つずつ、計四つの部屋の戸があった。

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