第14話

眉を寄せながら近づくと、皿の上に乗っていた干からびた“何か”は元は野菜だったらしい事が分かった。


ワイングラスには元々は八分目くらいまで入ってたんだろう、グラスの中にうっすらと輪じみが幾層かに渡ってついていた。


グラスの隣には栓の空いたワインのビンが置かれてる。


俺は眉を寄せたままそいつを手にとって年代を見る。


今から150年も前に作られたワインだった。


まったく、惜しいったらないぜ。


栓が空いてなけりゃ、そこそこ高く売れたかもしれねぇのに。


年代物だしな。


──って、待てよ?


案外どこかに、まだ栓が空いてないやつが残ってるかも…。


考えて、俺はちらっと壁際に置かれたガラス張りのチェストを見やる。


ビンゴ!


そこにはご丁寧に4本のワイン瓶が並べられていた。


俺はうきうきしながらガラス戸を開き、瓶を手に取る…が、


「──ありゃ?」


やたら軽い。


目を丸くして栓を見ると、なんと栓が抜けていた。


瓶の口から中を片目で覗き見る…が…


「~なんだよ、一滴も入ってねぇじゃねぇか」


俺は次々に他の瓶を手にとって中を確かめてみた。


けど、どれ一つとして中に液体が入ってるもんはなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る