第56話





「……くす」





動揺を表情に出さないよう気を付けたが、莉茉にはバレたようだった。





「…何だよ?」





小さく笑われた俺は、憮然と莉茉を見下ろす。





「…何でもありません」




莉茉の瞳が人の波へと向けられた。





「……。」




そんな莉茉に寂しさが募る。

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