第55話




「天野さん格好いいですね」




「ゲホッ!」




不覚にも、そんな莉茉の呟きに俺は動揺した。




思わず煙草の煙りに咳き込んでしまうぐらいに…。




「お前っ!」



…計算か?





俺は途中まで出掛かったその言葉を切る。




「はい?」




訳が分からないとばかりにきょとんと俺を見上げる莉茉に、打算や計算が出来るはずがねぇ……。

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