第24話 執着

くるみちゃんと

仕事以外で

話さなくなって

1年が来ようとしてる

最近、くるみちゃんも

仕事を

落ち着いて出来るように

なってきた


 ―そろそろご褒美をあげるか―


今日はくるみちゃんの

誕生日なので

愛はケーキを買ってきてる


突然くるみちゃんの

前にバースディーケーキを

愛は置いた


くるみちゃんは

鳩が豆鉄砲を食ったような

顔をしていた


なので愛は

『お誕生日おめでとう!!』

ってとびきりの笑顔で

お祝いの言葉を伝えた


くるみちゃんは急に

泣きだした




―そんなに嬉しかったかぁ―

 愛は心の中で

 くすっと笑った



くるみちゃんは

少し落ち着いてきたのか

今度は文句を言い始めてきた


『これほどまでにも

 大人げない

大人は初めてです!!』


相当、怒りが

こもってる感じだ

呆れかえっているのも

あるのだろうか?


愛は

『それはどうもありがとう』

『それは褒め言葉かな?』って

サラっと返した


くるみちゃんは

そこから

どんだけ泣くの?ぐらい

わんわん

わんわん

泣き叫びまくった



―教育は終了ですね―

 

って愛は心の中で

 自分の育成に

 誇らしく思った


そこからこの一年の

葛藤話を延々と

聞かされたのだ



数日後、くるみちゃんは

家族の都合で

会社を退職することと

なった



―あなたのお役目は終了です―

 本当に色々ありがとう


愛は心からくるみちゃんとの

出逢いに感謝します。

これからもあなたの

幸せを祈っています。



実はくるみちゃんと

職場で話してなかった頃

もちろん、自分自身の人生を

真剣に考えるからこそ

愛は天斗との人生の事も

考えていた



天斗のことは

好きで結婚はしたのだが


もっと大きな部分の所では

母親から離れたかったのはある


結婚をする事で

母親と

少しでも距離が取れるかも?

と期待をしたところも

心の奥の所では

あったのだと思う


でも、結果的には

どこまでそれが出来たのかは

分からない…


天斗と結婚して

やはり愛の母親がネックで

色々、天斗にも嫌な思いを

させて来た事も多々ある

それは物凄く

申し訳ない気持ちで

いっぱい


でも愛なりに

天斗が少しでも

快適な

結婚生活を送れるように

努力は

最大限にしてきたつもりだ


しかし…

一人だけ努力し続ける

事にも疲れて来たし

それをし続けることに

なんの意味があるのかも

分からなく

なってきている


そんな時ある友人が


『愛ちゃんそんなに

 嫌な思いを天斗くんから

 されたり

 お互いに

 いがみ合ったり

 傷つけあったり

 しているのは

 愛じゃあなくて

 執着だと思うよ』って


 愛は目からうろこが落ちる

 衝撃を受けた


 すべての謎が

 一挙に解明された気分だった


  ―愛ではなく 執着―


 これだったんだと思った

 

 ここ最近の天斗と愛は

 お互いを

 憎しみ合ってるのか?

 ぐらい醜い言い争いが

 続いている


 どんどん天斗を

 傷つけていても

 何も感じない愛にまで

 なって来ている


 これはとても

 まともな

 状態じゃあない


 このまま二人で

 結婚生活を続けても

 それは

 何の意味もない


 愛は

 『愛に生きる女』がテーマ

 その愛が

 天斗に真っすぐな愛を

 抱いているのか?


 いや違う…

 わたしは、天斗に

 『執着』しているだけだ


 

 ―これは愛が誇りに思える

       『愛』ではない―


 

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