第2話
(何だかんだ言っても、皆バレンタインに踊らされちゃってるんだよね…)
ま、人それぞれだし。イベントを楽しむのは全然構わないのだけど。
あまり良いイメージも思い出もない自分が、思わず冷めた目になってしまうのは仕方のないことだと思う。
「あ、雪乃おはよーっ!」
「おはよー」
教室へ入り、クラスメイト達と挨拶を交わしながら自分の席へと着くと、その横でも男子たちがチョコの話題で盛り上がっていた。
それを横目に、ぼんやりしていると突然声を掛けられる。
「よう、高山!今年のバレンタインは絶対お前に勝ってみせるからなっ」
同じクラスの植草が得意げに宣戦布告してきた。
植草とは中学時代からの同級生だ。向こうから何だかんだと声を掛けて来るので話しやすいし、それなりに仲は良いほうだ。
実を言うと幼稚園も一緒だったりするのだが、同じ組になったことはなかったし、幼児数の多い園だったので植草は多分私のことなんか知らないだろう。
(…っていうか、いつからバレンタインは勝負のイベントになったんだ!?だいたいチョコは数を競い合うようなものじゃないでしょうが!)
心の中でツッコミを入れつつ、分かり易い程に大きな溜息をついた。
「それ、おかしいから…。だいたい私と競ってどうするの?」
「だって、お前…中学の時からスゲー沢山チョコ貰ってるじゃん?去年もオレ、お前に
「…そうなの?私、数なんか教えた覚えないけど…」
そう言うと植草は、チッチッチと人差し指を横に振った。
「あるトコからのマル秘情報。しっかり入ってんだなー、これが」
得意げに笑う。
「何それ…。怖い」
誰だ。そんな人が貰ったチョコの数を
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