第9話

(…イタタ…)



やだ…私、うっかり木から落ちちゃった??

何てドジやらかしちゃってんのよ。


不意に風にあおられたとは言え、そのドジ加減に後悔しかない。


(っていうか、そうだ!ネコちゃんはっ!?)


あの震えていた、か弱い小さな身体のことが心配になり、気合いを入れるように朦朧もうろうとしていた頭をぷるぷると振った。


途端に頭の奥がズキズキと痛む。


(う…。頭打ったのかな?もしかして、私…一瞬気を失ってた??)


でも、まずは自分のことより子猫の安否が心配だ。

咄嗟とっさに守るように抱えはしたが、うっかり怪我なんかさせてしまっていたら、それこそ後悔しきれない。


嫌な考えが頭をよぎって、とにかく子猫を探そうと慌てて身体を起こそうとしたが思うように起き上がれなかった。


(ちょっ…何か重いものが乗っかっててッ!)


うつ伏せに倒れている自分の背の上に、とてつもなく大きなものが乗っかっている。


(何なの、これっ?こんな大きなもの…何処から??)


初めは太い枝でも折れて、それに挟まれてしまっているのかと思った。

でも、それにしては柔らかい。

それに温かいのだ。そして感触からして大きな布におおわれている感じだった。


先程の突風が何処からか運んできたのだろうか?


(それにしちゃ、デカ過ぎ…)


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