第3話

自分は、わりと男子でも女子でも分け隔てなく誰とでも話が出来る方だ。

だが、その分威厳などは持ち合わせていないので、逆になめられてしまっているのかも知れないと思う。


途方に暮れて。


(ああ…学級委員なんて、頼まれても引き受けなきゃ良かったなー…)


遠い目をして、思わず現実逃避をしかけた時だった。



後ろの席の方でバンッ…という、机を叩く大きな音が聞こえた。


途端にクラス中が水を打ったように静まり返る。

今までの騒がしさが嘘のようだ。


そんな中、音を出した張本人は皆の注目を一身に浴びながらも、平然と頬杖をついていた。


サラサラの僅かに斜めに分けた前髪と、銀縁の眼鏡のその奥で強い光を放つ切れ長の眼が、つまらなそうに前を見据えている。

その少年の鋭く冷たい瞳に、教室中が凍りついてしまったかのように皆動きを止めていた。


少年は一つ小さく溜息を吐くと、静かに口を開いた。


「いい加減、無駄な時間をついやすのは止めないか?これが長引けば、放課後の居残りは決定、間違いなしだ。俺は、そんなのに付き合わされるのは御免だからな」


一見正論のようではある。だが、実際は自己中心的なだけなのかも知れない。

それでも、この一言でクラスの皆が協力的に動いた。


結局、その後はすんなりと進行していき、決定事項も全て纏まったのである。


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