第7話

久賀雅耶くが まさやは、夏樹とは同級生で、現在清香が保健医を務める成蘭高校に通っている。


雅耶は夏樹と兄の冬樹と共に、いつだって一緒に過ごして来た、まるで兄弟のような存在だった。

家が隣同士で互いの母親同士が仲が良く、いつも家を行き来していたこともあり、三人は物心ついた小さな頃から一緒に育ってきたのだ。


だが例の事件後、夏樹は『冬樹』として、親戚の家に引き取られてしまった為、雅耶とは離れ離れになっていたのだが、高校入学を機に、この街へと戻って来た夏樹は、偶然にも高校で雅耶と再会を果たした。


再会した当初は、実は色々とぶつかることもあったのだが、今では雅耶も夏樹の良き理解者となっている。



「ね、本当の所はどうなのか、聞いてもいい?」


にっこりと笑顔を向ける清香に、夏樹はキョトンとすると首を傾げた。


「…え?何のこと…?」

「夏樹ちゃんと雅耶って…付き合ってるの?」

「へ…?」


思わぬ質問に、不意打ちを食らった夏樹は顔面を真っ赤に染めた。

その初心うぶな反応に、清香は笑みを深くする。


「いいなぁ、可愛い反応っ♪」

「…清香先生…。からかわないでよ…」


真っ赤になりながらも「別に、付き合ってるとかっていうんじゃ…」…と、口ごもっている夏樹に、清香は優しく微笑んだ。


「別にからかってる訳じゃないのよ。だって、私…嬉しいんだもの」

「…嬉しい…?」

「そう。二人を見てるとね…本当に良かったなぁって思うの。あのまま、夏樹ちゃんがずっと『冬樹くん』のままでいることにならならずに良かったって、実感してるのよ。二人とも、今すごく良い顔してるもの」


そう言って、まるで自分のことのように喜んでくれている清香に夏樹もつられて微笑みを浮かべた。


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