第39話

「……ま」


「ん…?」


「あん……て」


私を呼ぶのは誰でしょう?

揺すっているのは…誰?


右半身がなぜか冷たい。


「アンリ様!起きてください!」

「ん……。タオ?」


目をゆっくりと開くと、私の顔を覗き込んでいるタオの姿があった。


船に乗っている時に、渦に巻き込まれて…。


記憶が途切れる前の事を思い出す。


「わたくしたちは助かったのですか?」


「たぶん…ですが」


海ではない場所。息もできる。


「ここはどこかしら?」


身体をなんとか起こしながら訊くと、タオは力なく首を振った。


「そうよね。

では、他の人も探しに行きましょう。きっといるはずだわ」

「はい」


神殿のような場所。

魔力が込められているのかクリスタルが辺りに浮いている。

エメラルドグリーンの半透明な床。これにも魔力が込められているみたいだ。一歩踏み外したら底が見えないところに落ちてしまうと考えると寒気がした。


みなさんは無事でしょうか…?

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