第33話

「あ!アンリ様!

パオ大平原が見えますよ!」


船が動き出してから数時間が経った。

タオが身を乗り出して指差した。

今回はアルタローンから船を出したために、小さく、ではあるけれど。


『同じ、王女として力を合わせましょう』


パオの大平原で、ナーシャと手を取り合ったことを思い出した。


前の日のマックスの事も思い出して、アンリは少し恥ずかしそうに笑った。


「手紙のやりとりだけですけれど、ナーシャは元気かしら?」


「ええ。元気ですよ。

アンリ様に会えるのを楽しみにしていましたよ――もちろん、皆さんとも」


と、アモン。


「旅が終わってから、散り散りに別れてしまったから…」


アンリは目を閉じる。


すると、共に旅した仲間の顔が浮かんできた。


「みんな元気かな」


タオも同じようにしていたらしい。ふぅと息をついて、そう言った。

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