☆第三章☆

第32話

「ねぇ、アモン?」


「はい」


出航してすぐだった。

一息ついたところでアンリは口を開いた。


「マックスを見つけたというのは本当?」


今回の旅の目的である『マックス』。


ナーシャからの手紙では『らしき人物を見つけた』という話だったが。


アンリの問いに、タオとメイも気にしていた事だから、「どうなの?」と会話に参加した。


アモンは3人を見回すと小さく咳払いをして、


「ええ、マックスさん本人でした」


と、はっきりとした言葉で言った。


「元気にしていましたか…?」


嬉しさで胸が一杯になる、そのまま崩れてしまいそうだったけれど、それを聞くまでは安心できないわ。


「はい。

アダムさんも一緒でした」


「そう…」


元気でいた。良かった…。


でも、ならどうして…。


「姿を隠していたのですか?」

「…それは…アンリ様も会えばわかりますわ」


「もう…」


こちらは真剣だというのに、アモンははぐらかすよう微笑んだ。


いじわるねぇ。


アンリは言葉には出さなかったが、表情には出ていた。

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