第30話

「アンリ様…行ってきてはどうですか?」


ノーバが揺らついた私を押す。

同時に、本当の私が飛び出してくるのを感じた。


会いたい!

会いたい!

会いたい!

会いたい!


「…行っても…いいのですか…?」


アンリの目から、ほろほろと涙があふれだした。


「城のことは任せてくだされ。これまでと同じように、大臣のウォードそれと私で指揮していきますから」


「ノーバ様…」


真っ赤になった目をノーバに向けると、フォフォと笑い返した。


「よろしく…お願い致します…」



「それでは参りましょう、アンリ様。二人を待たせていますから」


「ええ…!」


ドレスから魔導士の服に着替え、旅に必要な荷物を肩に掛けた。


いつかは知れる事だけど、一緒に旅をしてきたみんなには伝えずに。


「それではアモン、案内していただけますか?」


アンリの言葉に、「ええ」とアモンはうなずいた。

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