第29話

「今日は、どうしたのですか?」


ノーバは部屋の中には入らず、その場に立っていた。


政治関係の話ではない、ということなのでしょうか。


「アンリ様に謁見したいという方を連れてきましたぞ」


「え?どなたかしら…」


普段、謁見する場合は予約をとる必要がある。

今日の分は終わっているから、緊急なのだろう。


けれど、私室に通すなんて…。


ノーバが手招きをすると、「はい」という女性の声が聞こえた。


その落ち着いた声には聞き覚えがありました。


「お久しぶりです。アンリ様」


「アモン!」


鳥のくちばしや翼、足を持つヒト。

その久しぶりに見るその姿にアンリは歓喜し、足早に彼女のもとに寄った。


「本当に久しぶりね。

今日はバルバロイと一緒ではないの?」


手を取り喜んでいると、途中アモンは真剣な眼差しを向けた。


「…アンリ様」

「…?」


「タオさんとメイさんが、アルタローンの近くで待っています。

一緒に行きましょう」


アモンの言葉に、私の胸が高鳴るのを感じた。

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