第27話

「オレとアンリ様じゃ、違いすぎますよね」


「え?」


「…え?、て…」


頭が一瞬、真っ白になった。


つまり、どういうこと?

私が、『ごめんなさい』と言って、マックスがショックを受けながら『オレとアンリ様じゃ…』と言ったわ。

マックスが隠した白い紙に書かれている、好きな人の名前って…?


「…」

「…アンリ様…?」

「もしかして…私…?」


口にした途端、自分の体に熱を感じた。それは込み上げて、顔に届いた。


私の顔、きっと真っ赤だわ。今は夜だから、マックスは気づかないだろうけど。


でも、でも…。


アンリはマックスから視線を外した。


「まさか…」


マックスは気づいた。

『オレとアンリ様じゃ』と言った時点で、彼女はまだ好きな相手を知らなかったという事を。


白い紙に書かれた名前を見ていなかったんだという事を。

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