第26話

マックスに一瞬隙が生まれ、それを見逃さなかった。アンリは彼が隠したものを一瞬だが見る事ができた。


それは白い紙。


「…白い紙?」


その単語には聞き覚えがあった。


テントで聞いたおまじない。アモンが話した『恋が実る』おまじない。


「…」

「…マックス…」

「…」


気まずそうに、マックスはうつむき黙ってしまった。


『好きな方がいたのですか?』という言葉は出てこなかった。


意外といえば意外だわ。マックスに好きな人がいるなんて。


ああ、でも追いかけてきて、悪いことをしてしまったわ。


「ごめんなさい、マックス」


頭を下げ、素直にアンリは謝った。


「え?」


彼女の言葉に、マックスは顔を上げショックを受けたような表情をした。


「…やっぱり、ダメですよね」


ハハハと力なく笑うマックス。


「???」


マックスの言葉の意味がわからなかった。なぜ、謝ってそんな台詞が出てくるのか。

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