第21話

ようやくバストーク山岳地帯を越え、その先の“パオ大平原”と呼ばれるところまで来ました。


そこで暮らしている遊牧民の敷地の一画を借り、今日の野営地としました。


そのテントの中。


私は―…休みを取っていました。辺りを見回すと、仲間達もそれぞれに休みを取ったり、訓練をしていました。


この部隊のリーダー・マックスは仲間達の話を聞いていました。内容は聞き取れなかったけれど、今回の旅とは関係ない雑談。けれどそれをすることによって、相手がリラックスできるみたいね。


あら?

次は私?


「アンリ様、足は大丈夫ですか?」

「ええ。少し休めば大丈夫です」

「…」

「えぇと…。マックス。

私たちのリーダーであるあなたとは、いろいろと理解を深め合ったほうがいいですよね」


そう話題を振っておいて、言葉に詰まった。


何の話がいいだろうか?

雑談のような話は、そういえばあまりした事がなかった。


「…ごめんなさい。次までには考えておきます」

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