第58話

「あれ~?

クラウドも気分悪くした?」


甲板に行く前、隅っこに座り込んでいるユフィに声をかけられた。


「ああ、だから甲板に行くんだ」

「アタシも行こうかな?」


と言いだしたユフィに、「え…っ」と、明らかにクラウドは嫌そうな顔を見せたが、


「…うぷっ…

…やっぱやめる。だからさ鎮静剤ちょうだい」

「…ほら。これ飲んでじっとしてろ」

「さんきゅ~」


内心、クラウドは安心していた。

さっさとユフィに鎮静剤を渡し、甲板に急ぐ。


「…クラウド、気分悪い割には、元気あるね…うぷ」





ひゅうっ


甲板への扉を開けると、一気に風が吹き込んできて、クラウドは思わずよろけてしまった。

空を飛んでいるのだから、無理もない。風から身を守る壁は、甲板にはないのだから。


でも。


「冷たくてちょうどいいな…。これならゆっくり考えられそうだ」


クラウドは手摺りに寄りかかって、さっきの続きを考える事にした。


――夢に出てきたあの場所、コンクリートみたいなところにいたな…。


きっとそこにエアリスはいるんじゃないかと思えた。だから、夢で見せたのだ、と。


オレたちが寄ってきた街は、大体木か土の地面だ。あんな地面がある場所、と言えば神羅と関係がある場所なんだろうな。

ミッドガルからはあんな景色は見れないよな…となると、あとは…?


ボーォォ…


答えが出せず、うなっているとクラウドの耳に入る低い音。


「なんだ?」


気になったクラウドは、その音の出先を探した。


上…ちがう。


飛んでいるあたり…ちがう。


じゃあ下……?


「あ」


あった。

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