第57話

「お…い」


「クラウドよぅ」


「……。」


「聞いてるか、クラウド!」


「わっ!?

―って、え、何だ?」

思い出しているところを、シドが隣まで来て、耳元で叫んだ。

そのせいで、考えていた事が飛び、代わりに今の状況が目に飛込んできた。


今いる場所は、飛空艇の中の会議室。

ぐるりと見回すと、全員が自分に注目していた。


「…あ」


正面にはシドがいた。たぶん彼が中心になって、今後の進路を話している最中だったのだろう。



「はぁ~。

ったくしっかりしろよな。一応リーダーだろうが」


タバコをふかしていたシドは、一度口から外して煙を吐いた。


「…一応ってなぁ」


その発言に多少ムッとはしたが、今はそれどころでなかった。


――夢の事を考えていたいのに……ここじゃ集中して考えられない。

どうにかして、一人になれないかな……?


そんな時、一つの考えが浮かんだ。


「…昨日は寝不足で、飛空艇が余計気分悪いんだ」


「く…はははっ!」


ボーっとしてた理由を答えると、シドは笑い飛ばした。


「こんなのがリーダーかぁ」


「大丈夫か?

リーダー代わるぜ」

バレットも笑った。


「クラウド、大丈夫?」

隣に立つティファが声をかけてきた。


「ああ。

だからオレ、ちょっと外の風に当たってくるよ」


ウィィィン


そう言い、中央広間への扉を開け会議室をあとにする。


「お~~い。

…まだ、話は終わってねェんだがなぁ…。

#ちっ。分かったよ。次の目的地に着くまでには治しとけよな!」

「…ああ」

プしゅう~


「…。

クラウド、何か変じゃない?」


クラウドが退室した後、ティファはいつもと違う彼に気づいていた。


「は?」

「いつもと同じだろ?」


シドもバレットも気づいていない。


気持ち悪いから、だけじゃない気がする。

クラウド、なんかうわの空だし。


しばらくティファはクラウドが出ていった扉を眺めていた。

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