第53話

ティファのココロの中で、何かが決まった。


――何度か、クラウドに五年前のこと聞かれたけど…今度は…今度は話そう。


『ねぇクラウド』


『クラウド、実はね…』


『五年前なんだけど…』





「ティファ…?

どうして、こっちを向いてくれないんだ?」


「…」


セフィロスによって、ティファとクラウドは五年前のニブルヘイムにいた。


―私は、“言う”って決めた。決意したはずだった。

けれど。


「どうやら、都合が悪いらしい」


クククとセフィロスは笑う。


「ティファ…」


―クラウドと向き合うことができない。

クラウドの不安を取り除くだけの顔を見せられない。

――ゆっくり、話し合うつもりでいたのに、どうして邪魔をするの…?


「オレは…セフィロスの言う通り、あの時ニブルヘイムに来ていないのか…?」


自分では立っていられないくらいに、よろけるクラウド。


私は答えられなかった。


―でも、クラウドにとってはそれが答えになっていた。


話し合うこともできぬまま。

2人は引き裂かれた――。



つづく。

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