後編

第37話

男はカメラに三脚を付けて、距離、位置を確認していた。


「ん、と…よし!

はぁーい、じゃあ寄って寄ってェ~」


クラウドは渋々、エアリスはノリノリで撮影に臨む。


撮影場所は舞台上。


壁に描かれたチョコボの絵柄をバックに、クラウドとエアリスは並んだ。


「うぅ~ん…」


だが、カメラマンの思う図になっていないのか、なかなかシャッターが押してはくれなかった。


(彼氏の方が彼女の肩抱いたりしてくれるといいんだけど……お?)


ちょうど観客席の通路を歩く、モーグリの着ぐるみを着た人を発見した男は、


「おーい、モーグリ君ちょっといいかい?」


と呼び寄せ、ひそひそと密談していた。


「ふむふむ…おまかせクポ~!」


話が終わったのか、元気な返事をしたモーグリはテコテコと歩き、二人に近づく。


「なぁに?」


エアリスが首を傾げて尋ねてみたが、モーグリは答えず二人の後ろに回って「失礼するクポ」とひとこと言った。


「え?」


「うわっ」


クラウドの右肩、エアリスの左肩を掴み、強引に二人を近づけさせた。

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