(エ)マジカルナイト

前編

第31話

ゴールドソーサーで泊まることになった夜。


コンコン、とある部屋のドアが叩かれた。


「…誰だ?」


「クラウド、まだ起きてる?」


入ってきたのは、ピンクのワンピースの上に赤いデニム地の服を着た女性である。


「エアリスか。

…どうしたんだ、こんな時間に?」


そう。部屋をこっそり抜け出して、わたしはクラウドのいる部屋を訪れた。


「デート、しない?」


そう言ったら、クラウド少し驚いた顔してた。


「デ・ー・ト!した事ないの?」


嬉しそうな困ったような、そんな顔をクラウドは見せた。


「正式には、ない」


「うーん、不幸な青年、ね。まあ、いいわ。さ、行きましょ」


「…でも」


すると、はっきりしない答えが返ってきた。


「―もぅ。

こんな事してる場合じゃないのは分かるけど…たまには息抜きしないと、ねっ!」


「お、おい…」


わたしはクラウドの腕を引っ張って、なかば強引に、ゴーストホテルから出ていく事に成功した――。

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