第11話

「うん、んとね…」


―――つ…ついに来たわ!

想いを伝える時が!!


あまりない経験からか、この場にきてパッとチョコを渡すことができなかった。


「ティファ?」


いつもと違う感じが、ようやく彼に伝わったようだ。

クラウドは首を傾げ、ティファの顔を見る。


ここでキメなきゃ!


「…こ、これ!」


覚悟を決め、チョコの入った袋を取り、目を閉じながらクラウドの前に差し出した。


その瞬間。


「あぶない!!」


スパンっ


クラウドの叫ぶ声が聞こえた。目を閉じていたティファは何が起きたかわからない。


だが、チョコを持っていた手が軽くなったのを感じて、ゆっくり目を開いてみた。


「あ…っ」


目を開けて、見えた世界。


驚いた顔のクラウド。

手提げの部分だけ持っている自分の手。


ぱきんっ


中身はどこ?


ティファは座ったまま辺りを見回し、最後に何かが割れた音がした床を見て、愕然とした。


「この手裏剣は…ユフィか!?」


ティファの様子は置いておき、クラウドはそれが飛んできた方向を目で追いかけると、店内で光があたらない場所で動きがあった。気づかなかったが、ずっとその場にいたようだ。



クラウドの予想通りの人物――ユフィがいた。

気配を消す技でも使っていたのだろう。

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