後編

第10話

からん…



「クラウド、お疲れ様!」


「ああ、ティファ」


ドアの鈴を鳴らして、ティファは酒場に入った。中は薄暗く、ランプが灯らない場所は誰がいるか判別できないくらい暗い。

カウンターに座っていたクラウドはもう飲みはじめていた。


――チャンスだわ!


「となり、いい?」


「ああ」


クラウドの左側の席にティファは座る。


「……」


どう切りだそう。


元々話とか得意でないため(クラウドも)、早々言葉につまってしまった。


「あ!あー、そうだ!

私、クラウドに渡したいものがあったの!」


何ともわざとらしい切りだし方だったし、ムードを盛り上げる前座すらない。いきなり。


だが、それを特に気にすることもなく、


「?…何だ?」


そう返事をした。

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