第5話

ちゅんちゅん…


朝を告げる鳥の声。


キッチンで目覚めたティファはテーブルに置いておいたチョコを見つめた。


…結局。

チョコ、普通の形になっちゃったな…。


ハートの型にチョコレートを流し込んだもの。厚さ1センチくらいで、自分の手のひらサイズほどの大きさ。


「あとは箱に入れて、ラッピングして…」


「ティファー!

そろそろ行くぞ!!」


遠くからクラウドの呼ぶ声が聞こえて、ティファの心臓は高鳴った。


探しに来る?

ここに今、来られたら困る!


焦って立ち上がり、ティファは廊下側に顔だけ出して、


「すぐ行くから、先に外に行っててー!」


大声で言うと、「わかった」という言葉に、とりあえず安心し、残りの作業の始める。


手早く包んで、完成させると、ふと見た壁にかかっている鏡に気づいた。


「うわ……」


少し隈のついた目、ボサついた髪に自分でも引いた。

洗面台に寄って顔を洗い、髪を手ぐしで直し、最後にチョコを手に取って、宿を後にした。

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