第1章・穢れなき想い 1ー②
華の都と称される、クロフォード王国の中心部、フォンデンバーグ。
そこには王のおわす城を囲うように、それを崇める人々の城下町があった。
自然の恵みである幸が一同に集まり、あらゆる資源に溢れたフォンデンバーグには、隣国サイランス帝国といさかいがあるなど、一切窺わせない。
治安も良く、活気に溢れ、国民の皆が最強国であるクロフォード王国を誇りに思っていた。
そして、その街の人々の多くは、とあるの騎士に夢中だった。
この年、騎士団へ入隊したの中でも一際美しい容姿である白銀の騎士、アンソニー・アシュレイに皆が魅了されていた。
ザンジバル国王の血を引きながら、庶民の母を持ち。
見た目は王族らしい品格を持ちつつ、平民としての心を忘れずに、誰に話し掛けられても気さくに応える。
王位継承権はないが、この度、侯爵としての地位を授かり、国民からは世継ぎのジュリアスよりも、『身近な王子』として人気を博していた。
襟足まで伸びた銀髪の色は母親から譲りだったので、クロフォード王族との血統から逸れてはいたが、その翠の瞳は正しく王家の血を引くものだ。
アンソニーの実力や麗しさからも、この先、いずれかの王族の専属騎士として任命されるのだろうと、高位の令嬢達は胸を踊らせていた。
クロフォード王国を守る、勇猛なる騎士団は、主に三つに分けられている。
国内を守るのは『金獅子騎士団』。
王族貴族を守るのは『白百合騎士団』。
戦争となれば、勇猛に剣を奮うのは『黒鷹騎士団』。
各々、能力や容姿などが考慮され、騎士として入団する際、各団に振り分けられた。
ほとんどの者は、『金獅子騎士団』へと入隊し、国の治安を守る。
その主な仕事は、国民の命を守り、平和を維持する為の自衛だった。
見目の麗しいの麗しい者は、『白百合騎士団』へと配属される。
公の宴や式典にも王族や貴族と同行する為、その見た目も問われるからだ。
そして、武術や剣術などの運動能力に秀でた者は、『黒鷹騎士団』へと入隊する。
中でも、精鋭部隊とも言える総勢50名からなる『漆黒の鷹』の隊ともなれば、国の英雄と呼ばれ、たとえ平民の出であろうとも、『一代限りの子爵』の地位を与えられた。
それは、貴族の仲間入りが出来るとあって、まさに平民騎士達の憧れでもあった。
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