第39話
数日後。
依頼を受けた私は、団長とともにシルディアの中央通りに特設されている“スタジオ”というところに足を運んだ。
「ほぅ。
こりゃあスゲェ」
初めて来た場所だが、団長のようにキョロキョロはせず、目だけを動かして私は確認した。
そこは、外部からの音を遮断できる壁の作り。
撮影機材に少し奇抜な印象を受けるドレスやワンピース。撮影用の衣装だろうか。
「お。」
何かを見つけたのか、ヴォルグは足を止めた。
私も足を止める。
正面には、少し軽装の男がいた。
「国王陛下さんよ、ブランネージュを連れてきたぜ」
「はじめまして、ブランネージュさん」
「…はじめまして」
この軽装な男が国王陛下だと?
――見えんな。
それにサングラスをかけていてよく分からんが、とりあえず私の顔を舐めるように見ていられるのが気に入らん。
本当なら文句のひとつを言っているところだが、仕方ない…堪えよう。
「やはり理想にピッタリな容姿だ!」
「うん?」
「これを見てくれないかい?」
国王陛下から渡された紙――それは歌詞のようだった。
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