第30話

「なぁ、キリヤ。放課後ちょっと付き合ってくんねぇ?」


HR(ホームルーム)が終わり、帰る支度をしていると、教室のドアを開けてきたのは霧谷とは幼なじみの蒼真だった。


「なんだよ。ゲーセンにでも行くのか?」


「ちっげーよ!買い物だよ買い物!」


「ふぅん?ま、いいよ。行くか」


☆☆☆☆☆


と、蒼真に付いて行くと、そこはやけに女性客の多い店だった。


「な…っ!?ここに入るのか?やっぱパス!」


それはチョコレートやクッキーが有名な店で、今は2月。そうバレンタインが近いから女性客が多いのだ。


「そう言うなよキリヤぁ。一緒に選ぶの手伝ってくれよぉ」


「はぁぁ?選ぶ?」


「何だよキリヤ。知らねぇのか?

今は逆チョコってのがあるんだぜ?」


なんだそりゃ?って返すと、ソウマは男子から女子にチョコをあげる事だと答えた。


「これはいい機会だと俺は思ってる。だから協力してくれ!」


ソウマが誰の事を言っているかは聞かなくても分かる。


「…わ、わかったよ」


「よっしゃ!」


渋々ながら了解すると、指をパチリと鳴らして「それでこそ俺のソウルフレンズ!」と言った。


「ソウルフレンズとか、なんか恥ずかしいから街中で言うなよ…」


「よし!そうと決まれば中に入ろうぜ!」


蒼真は霧谷の襟首を掴んで女性ばかりの店内へ。その間の霧谷はずっと恥ずかしそうに下を向いていたとか。






おわり

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