冬x風

Q、バレンタイン

第29話

「あ、そうだキリヤ」


「うん?どうしたんだシーナ?」


下校中、アタシとキリヤは並んで家へ向かっていた。


あ、家が隣って言うだけだからね?


それでたまたま生徒会の集まりがないから一緒だったってだけだから。


読者に忠告しているようだが、まるで自分に言い聞かせるようでもあった。


「…なんだよ黙り込んで?」


「え、あ…何でもないわよ。

それより、キリヤに渡してほしいって、頼まれたものがあるのよ」


言って椎名は鞄から包装された箱を取り出した。


「はい、コレ」


「これって…チョコレートか?…誰から?」


「知らない。一年の子だったわね」


…なんて、嘘をついちゃった。ホントはアタシのなのに…。


けど、なんか雰囲気的に言いにくいじゃない。柄じゃないし。


「ふぅん…」



★★★★★



椎名も霧谷もは忘れていたが、チョコを人に頼むなんてまずしないだろう。

ましてや霧谷と幼馴染みである椎名に渡すなど。





(おしまい)

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