第25話

「限度ってもんがあるでしょ!……はあ、まったく。

アンタは、騎馬戦と美白男子と対抗リレーよ」


「は?美白?

なんだよその競技は?」


「参加してみればわかるわよ。じゃあね。頑張んなさいよ」


「あ、あれ?シーナ。どこに行くんだ?」


用が終わったと思ったらしく、シーナは生徒席ではなくテントのある場所へ向かっていた。


「アタシは生徒会役員だしね」


「あ、そっか…」


意外かもしれないが、シーナは生徒会役員なんだよな。怒ると鬼のようなシーナでも下級生たちには人気のようで。


霧谷は頭を少し掻くと、生徒席に向かった。


「よぉ、キリヤ。シーナと何話してたんだ?」


組分けされている事など関係なく、座りたい席に座っていた蒼真に引き止められた霧谷。


「自分が出る競技の確認だよ。俺寝てたみたいだからさ」


「へぇ。で、キリヤは何に出るんだ?」


「んー、騎馬戦と対抗リレーと……あとは美白男子だって」


「俺もその競技なら出るぜ!」


「そうなのか?」


「まあ、あと借り物競争に障害物競争とパン食い競争も出るけどな!…そうか、キリヤも同じ競技に出るとはな。負けないからな!」


「負けないからな!……って、俺はそこまで本気じゃ…」


「じゃあ、競技ひとつにつき、勝った方が帰りにコンビニでひとつおごりってのはどうだ?」


「え?」


突然の提案に、霧谷はどう答えて良いかわからずにいると、


「よし!決まりな」


と答えを待たずに決めてしまった。


「お、おい。決まりって…っ!」


用が終わったのか、蒼真は競技に参加するらしく、入場ゲートに行ってしまう。


シーナといいソウマといい、どうしてあの二人は勝手に決めちゃうんだろ。


霧谷はそう思ったが、ため息ひとつついただけで、席に座ってしまった。

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