第24話
★★★
「おーい、キリヤぁ!」
教室のドアを豪快に開けてきたのは幼なじみの蒼真だった。
「ソウマ…」
教室に入ると、早速机を寝床として使っていた霧谷は、気だるそうに体を起こして、その幼なじみの姿を確認する。
「……って、お前もうジャージになってるのかよ?」
「だってよ、今日は体育祭しかやらねぇじゃん?」
「そ、それはそうだけど……」
「だからよ、今のうち体を慣らしとくんだよ。つーか、楽しみすぎて制服でなんていられねぇんだよ」
「……そっか」
キーンコーンカーンコーン
「やべっ!
HRのチャイムだ!そんじゃあキリヤ、またあとでなー!」
予鈴の音が聴こえると、蒼真は慌てて自分のクラスへと戻っていった。それから間もなく担任の教師が教室に入り、HRが始まった。
★★★
「ちょっとキリヤ!
また眠ってるわけ?HRは終わったわよ。さっさと起きなさい!」
「イテ!?」
頭を丸めた教科書で叩かれた感じがして、霧谷は目を覚ました。
どうやらまた居眠りしてしまったらしい。教壇に教師はおらず、生徒は席を離れてそれぞれに行動を取っていた。
「シーナ…」
「みんな着替えるみたいだから、アンタも早くしなさいよ。じゃあね」
それだけ言うと、シーナは教室を出ていった。更衣室に行くのだろう。
「さて、と。それじゃあ俺も、っと」
まだあまり気乗りしない足取りで、霧谷も着替えに行く事にした。
着替えを済ませ、グラウンドへと生徒は集まる。
先生のお決まりのような挨拶に、準備運動。ダラダラと霧谷はそれをこなしていた。
そう言えば俺って何の競技に出るんだっけ?
それを決める時間の時すら寝ていたと思う。
「なあ、シーナ。
俺って何の競技に出るのかわかるか?」
こんな風に自然に聞けるのは、同じクラスのシーナしかいない。
すると、はぁとため息をつかれてしまった。
「やっぱり聞いてなかったのね」
「仕方ないだろ。あまり興味がなかったんだから」
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