夏祭り・後編

第18話

「ねぇ、ソウマ!

そろそろ時間じゃない?」


マオが耳打ちをすると、「もうそんな時間か!」と少し焦ったようだった。


「悪い、トライハルトにヒルダ!俺たち準備があるから先に行ってる!」


「どこにだ?

というか、そんな話聞いていないぞ?」


「ワリィワリィ。

とにかくさ、この先に会場があるんだよ。そこで待ってる。じゃあな!」


「お、おいソウマ!」


急な話に、ソウマを呼び止めようとしたが、全員を引っ張って先にある、明かりが見える場所に行ってしまった。

ただ、仙女が「なぜわらわまで?」という言葉を口にしていたようだが?


「…皆さん、行ってしまいましたね」


「そのようだな」


急に2人なってしまうとな…。


「…もう少し見物していくか?」


「はい」


ソウマが主導権を取っている時より、ゆっくり見物ができた。


風鈴、金魚すくい、わたあめにリンゴ飴…。


「…本当、エルデのお祭りみたいですね」


「次やる時はリーベリアの色も出さないとな。これでは片寄りすぎだ」


「え?」


驚いたようなヒルダの顔。


しまった…。いつもの調子で批判をして、ヒルダは嫌に思っただろうか?


「次もあるんですか?」


しかし彼女は目を輝かせて嬉しそうな顔をしていた。


「あ…いや。

ああ、そうだな。やる事があれば…だが」


「ふふ。

きっとありますよ」

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