第17話

ロウエンの店を離れ、ソウマが次に行った店は…。


「おお!すっげぇ!!

たこ焼き、よく短期間で習得したな!!」


「ソウマの指示通り作ってみたの。食べてみてほしいんだけど…」


匂いにつられてフラフラと。たこ焼き屋――そこの店主はゼクティだった。


「サンキュ!…どれどれ」


慣れたように、器の端にあるようじを取って、湯気のたったたこ焼きを1つ刺して、口へと運ぶ。やはり熱かったのか、はふはふとしながら食べていた。


「うんめぇ~っ!初めてなのにすげぇな!!」


「それなら良かった。

なかなか難しかった。温度を見ながら作らないといけなくて…」


ふと、ゼクティの目の色が変わる。あれは、敵かどうか識別する時に使うもののはずなのだが…。


「む?

温度、上昇。返し時だ」


普通に話していたかと思うと、ゼクティはいきなりたこ焼きに視線を変えた。そして返しをを握り、凄まじい速さでたこ焼きを返す。


「ゼクティ、すごいわ!」


彼女の成長に、メンテナンスをよくしていたヒルダは喜んでいた。


「これ…プロ以上じゃないか?」


そして両面焼き上がると、手早くパックに詰めて、ソースと青のり、鰹節をふりかけて。


「お待ちーっ」


『………』


彼女にその言葉を教えたのは、ソウマなんだろう。

本来、もっと勢いよく言うものなのだろうが、ゼクティにはそれがなかった。


「どうしたの?何か変だった…?」


手際が良かっただけにアンバランスで、皆はただ力なく笑うのだった。

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