夏祭り・中編

第15話

「これが浴衣って言うやつなのね?どう、ソウマ?」


エルウィンはクルリと回って見せてみた。


「お!似合ってるじゃねぇか!」


それぞれ個性がある浴衣に、ソウマのテンションも上がっているようだ。


「そんじゃ、屋台見物しようぜ!」


「これ!待たぬか」


「?」


女性陣の肩を掴んで、さっさと行こうとするソウマを引き止めたのはホウメイだった。


「わらわにも何かあるじゃろう?」


ホウメイはソウマに向かって「ほれ」と言いながら、ポーズをとってみる。


「…可愛いのにそのポーズは合わねぇな」


「む、むぅ~」


どうやら本人が求めていた感想とは違うようだ。明らかに不満そうである。


……まあ、仕方ないと思うがな。


ソウマ一行が(ホウメイはクララクランになだめられながら)さっさと行ってしまうと、俺とヒルダだけがその場に残っていた。


「あの…、私たちも行きましょうか?」


「ん、あ、ああ…」


しまった…。感想を言いそびれてしまった。


ヒルダはそれを気にしているようには見えなかったが、やはり言った言わないでは違うと思う。

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