第10話

「今度帰ってきた時は…リーベリアの事教えてね」


場所を移動して、桜の木(リーベリアで霊樹と呼ばれた特別な木)の前に、6人は集まった。


別れを寂しく思うように、呉羽は言った。


「ああ」


「土産話もいいけど、あたしはお土産の方がいいわねぇ…」


「何言ってるんだよ…」


「そうだ。

遊びではないんだぞ」


「わ、わかってるわよっ。

ジョーダンに決まってるじゃない!」


俺とトライハルトの二人で言うと、シーナはむくれた顔で否定してたけど…あれは割と本気発言だぞ?


「……あの、それなら、私が―…」


蛭田の発言は、椎名の顔を輝かせた。


「ヒルダ。その必要はない」


が、ぬか喜びに終わる。


「では、行くぞ」


西園寺は桜の木に向きを変える。


「お前らは離れてろ」


ソウマは俺とシーナとクレハを見、そう言った。


うなづいて、桜の木から少し距離を取った。


「それでは…また」


蛭田が言うと、桜の木の側にある三日月型の池が朱に染まり、木はまぶしい白に光る。


それは一瞬の事で、俺が目を開いた頃には、3人の姿はなく、桜の花がすべてあたりに舞っていた。

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