第8話

「…式は終わったのか」


蒼真の読み通り、光風館の中にある生徒会室――通称・四季会のドアを開けると、彼と、もう一人…女子生徒がいた。


「あれ、ヒルダさんも一緒だったのね?」


彼――西園寺は席に座り、蛭田が淹れた紅茶を飲んでいる。


彼女の方は、蒼真たちが来るのが分かっていたようで、ティーカップを4つ用意して紅茶を淹れているところだった。


「は、はい…。

先輩の姿が見えなかったので、抜け出してきてしまいました」


「ヒルダさん、よく見てるのね」


時々、思いきった行動に出る子なんだけど、行事をすっぽかすなんて…。


あたしが感心したように言うと、


「えっ?

い、いえ…」


頬を真っ赤にしてうつむいてしまった。


「……では帰るぞ」


ティーカップをわざとらしく音を立てて置いて立ち上がる西園寺。


…まるで彼女をかばうかのようなタイミングね。



「もう少しゆっくりしていけばいいのに」


つまらなそうに、椎名は言った。

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