第2話

 「それにしても…何ですか今のは!って…

 殿下の花嫁に失礼かもですけど。

 …本当にあの方と結婚するんです?

 何か企んでるんじゃないかと逆に疑いたくなりましたよ。」


 「……落ち着け、アクラム。何か事情があるのかもしれない。」


 「事情?事情なら噂だけでもいっぱいあるじゃないですか!それはもう山のように黒い噂ばかりが。

 しかもあの態度、かなり不敬ですよ!

 相手が殿下じゃなければ………

 殿下………あれです。今なら婚姻をなかった事にしても。」


 真面目な顔をしてアクラムが呟く。


 「馬鹿なこと言うな。

 式は予定通りに行うぞ。」


 常に冷静な対応をしてしまうザイードに対してつい感情を隠せないアクラムは、不満げに頬を膨らまし、応接間を出たザイードの後を追った。


 (確かにこの婚姻は好き同士がするわけじゃないしな)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る