キリクスとの結婚
エリスは夜だけはユースティティアに入れ替わりをさせなかった。
理由は単純だった。
「私があんな、雑種みたいな皇子と夜を共に過ごすわけないでしょう?」
キリクスに対する酷い扱いが腹立たしかったが、夜だけはキリスクの側にいることができた。
それだけでも幸せだった。
他にもユースティティアは、エリスに化けなくてもよい間、キリクスの為にできる事はないかと探し回った。
使用人に頼んで彼の服を洗濯したり、破れた部分を針と糸で補修したり。
彼の使う執務室の本棚の並びを整えたり、部屋を綺麗にしたり。
けれど使用人達は、悪女がやっている事は結局、悪事でしかないと捉える。
だからやった事は全て歪曲して、キリクスに伝えられた。
『キリクス様の服に何か仕掛けを施しておいででした。』
その服は捨てられた。
『本棚を念入りにチェックしていましたよ。
もしかして国の機密事項でも盗もうとなさっていたのでは?』
本棚には開かない様に鍵が掛けられた。
「どうせ悪女のやる事だから。」
そんな悪意が、この青薔薇宮にも満ち溢れていた。
何をやっても空回りで、ユースティティアは虚しい日々を過ごした。
次第にユースティティアは部屋に閉じ籠るようになった。
何をしていたかというと、キリクス宛に他愛のないラブレターを書いたり、エリスの呪いを解く方法を探したりしながら過ごした。
魔法書を読み漁っていると『光属性の魔法』でしか出来ない魔法がある事を知った。
エリスに脅されて以来、魔力のことは誰にも秘密にしてきた。
自分の心に引っ掛かる魔法を独学で習得した。
だがその魔法を使える事によって、ユースティティアは一つの大きな間違いを犯す事になる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます