第13話

「うん、分かったよ! ありがとう!」


意外と素直ないちごくんは、パパに感謝をした。


「みかんちゃん、ごめんね……」


そして、みかんちゃんに謝るいちごくん。


「ううん、いいのいいの」


相変わらず、何処が首か分からない首を左右に振って答えるみかんちゃん。


「仲直り出来て良かったね!」


パパは、みかんちゃんの手といちごくんの手を取って握手をさせた。


「これで一件落着だね!!!」


一同、頷く。


次の瞬間ーーーー


「ハッハァクショーーーーン!!!」


パパは、大きなクシャミをした。


目の前が真っ暗になり、パパの意識が飛んだ。


暫くして、パパは目を覚ました。


「イテテテッ!」


鼻に激痛が走った。


良く見ると、ななの右手に持ったクレヨンが、もう一つの鼻の穴にもぶっ刺さっていた。


そして、パパは現状を理解した。


どうやら、絵本の中の世界から現実の世界に、戻って来る事が出来たと。


何故か、鏡に滑稽に写し出された自分の姿を見て、安堵感を覚えるパパであった。


パパは、両鼻にぶっ刺さったクレヨンを抜き取った。


そして、ななの両手にクレヨンを握らせて、何事もなかったように部屋を出てリビングに向かった。


「あら? パパ、何処にいたの?」


ママが、パパを見つけた。


「あっ、いやっ、その…… 書斎で仕事の…… あれで……」


苦し紛れな言い訳をするパパ。


「どうでもいいけど、鼻血出てるわよ! しかも、両方からっ!」


ママが指をさして言った。


「えっ! 本当に?!」


パパは、鼻を隠してトイレに逃げ込んだ。

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