第12話

「そうだよ! その事に決まってるだろ!!!」


いちごくんは、キレて答えた。


「みかんちゃん、説明してくれる?」


パパは、みかんちゃんをチラッと見て言った。


「うん、分かった……」


みかんちゃんもパパをチラッと見返して言った。


そして、みかんちゃんは続けた。


「実は、いちごくんが私の事を羨ましがってるの」


「いちごくんは、赤よりオレンジ色が好きで、形も三角より丸が好きで、おまけに柑橘系の匂いまで好きだって言うの……」


「そうだよ! みかんちゃんが羨ましいんだよ!」


いちごくんが、みかんちゃんをにらみつけて言った。


「ねぇ、いちごくん、“桜梅桃李”って言う言葉を知っているかい?」


いちごくんとみかんちゃんのやり取りを見かねたパパが言った。


そして、続けた。


「“桜梅桃李”って言うのは、サクラ、ウメ、モモ、スモモが、それぞれのオンリーワンの花を咲かせて、他人と比べる事なく、自分自身を磨くのが大切だと言う意味なんだけど」


「私も含めて皆、“隣の芝生は青く見える”もので、自分より他人の方が良く見える心理が働くんだよね」


「ここで言えば、みかんちゃん、りんご娘、キウイさん、そしていちごくん、色も形も匂いも皆違うでしょ、だから他のものと比べるのではなく、それぞれの”唯一無二“の個性と言う花を咲かせられるように、日々の努力を怠らない事が大事なんだよ」


「それに、皆それぞれ役割と役目があるから、必要のないものなど無いんだよ」


みかんちゃんもりんご娘もキウイさんも、そして

いちごくんも、パパの言葉に感銘を受けた。

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