第57話
話を聞いた皐月くんは
「俺の所為でごめん」と、頭を下げた
そして・・・全部を話してくれた
「誤解を解くにはずっと過去に遡らなくてはいけなくて…」と、初めに言った
わたしと皐月くんの出逢いは皐月くんが4歳の時らしい
産まれたばかりのわたしを見て皐月くんは「大きくなったら僕に頂戴」とわたしの両親に言ったそうだ
そして、少年期、青年期を経てその恋心は消える処かメラメラと燃え上がった
その思いを小説に書き賞を受賞した
その間も皐月くんはわたしを見守っていた
わたしの両親は
「葵が皐月くんを好きになったら結婚させても良い」と、勝手な約束をしたらしい
皐月くんが4歳の時の約束
彼は「その言葉を信じて生きてきた」と、わたしに言った
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