第55話

「葵、葵…」



誰かの声が聞こえる



でもね、目を開けたくないの・・・



「葵…何処にも行かないで…」



わたしには居場所がないの・・・



「葵…俺を置いて行かないで…」



貴方も一人なの?・・・



「葵…愛してる…愛してる…」



愛おしそうに聞こえてくる・・・わたしも誰かに愛されたい・・・



「葵…お願い、目を開けて…」



優しく頭を撫でられている気がする・・・



とても安心出来る、大きな掌・・・



ゆっくり、ゆっくり、目を開けると・・・



涙を流してる皐月くんの姿



辺りは真っ暗なのに皐月くんはハッキリ見えた



「…皐月…くん?」



わたしは皐月くんに抱えられていた

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