第58話

「渉?・・・泣いてるの・・?」



気付けば俺は泣いていた



「泣かないで・・・」



俺の涙を何度も拭っては微笑みかける



あんな話しの後で辛い筈なのに、それでも俺を気にかけて・・・



ダメだ・・・もう・・・



俺は力任せに抱きしめ



「もう、1人にさせない。イヤってほど甘やかす。俺なしじゃ立ってられないくらい。・・・紫音には拒否権ないよ?もう俺と一緒なのは決まってるんだからね」



「はい。いっぱい甘える。ずっと一緒。・・・嬉しいな!」



神様・・・お願いです。俺に紫音を守れる力を下さい。これ以上、苦しませないで下さい。・・・お願いです・・・俺が愛する事を・・・一生涯、愛し抜く許可を下さい



「紫音・・・俺・・・紫音が愛おしくて堪んない。もう、紫音が虚無に飲み込まれないように俺が幸せを教えてあげる。この世界が優しい事も・・・何もかも教えてあげる。だから・・・今までの紫音とはサヨナラしようね?」



「・・・?良く分からないけど、バイバイする。」



今日で虚無の世界は終わりだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る