第45話

嫌いになる訳ない。イイ子になんてこれ以上ならなくていい。謝る必要なんてどこにもない。なのに、縋りついて来る紫音に



「紫音?ちゃんと顔を見せて?俺が大好きな紫音を見せて?」



背中を擦りながら言うと少しずつ顔を上げた



「嫌いになんてならないよ。そんなお願いはいらない。もっと好きになって!って言って?それにこれ以上イイ子になる必要もないよ。こんなイイ子、見た事無いもん。それから謝るのは俺だよね?怖がらせて嫌な事を思い出させて。・・・ホント、ごめん」



俺は思ってる事すべてを伝えた



そんな俺に紫音は首を傾け



「・・・いいの?私、ここに居て・・・怒んない・・の?」



「紫音?・・・俺が側に居て欲しいと思ってるんだよ。だから俺からのお願い。どんな我儘な紫音でも構わない。俺から離れて行かないで・・・」



自分の気持ちをこんなにも伝えた事はない



恥ずかしい、情けない。そんな気持ちより分かって欲しい。それが全てだ。



「・・はぃ。一緒にいる・・・」



そう言って笑顔を見せてくれた



今はこれでいい。聞かなきゃいけない事も今だけは忘れて。



この日は2人で愛おしさを抱きしめ、辛さを包み込んだ

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