第17話 男のずるさ

ある夜…

突然、同級生の男性から

電話があったのだ

その同級生は、元夫とは

共通の友人のひとりなのだ


どうやら

元夫が『引っ越ししました』のハガキをあちこちに

送ったのを見たらしい

それで慌てて

連絡をしてきたようだ


同級生の男性は

『どういうことだ!

 いつのまに、離婚に

 お前たちはなってたんだ!

 驚いたぞ』


凛子は事情を説明した


すると同級生の男性は

『元気出せよ!』

『今度、ご飯食べにでも

 行こうぜ!』と言ってくれた


凛子は単純に嬉しかった

同級生って

いいなぁって

笑い合いながら

愚痴でも聞いてもらおうって

思ってた矢先に…


同級生の男性が

さっきのノリとは違って

変にシリアスな話を

し始めてきたのだ


『元夫と結婚せずに

俺と結婚していたら…

凛子は幸せになれていたのに…』


なに?これ

いきなり意味わかんないわ!って凛子は腹が立ちだした


なので凛子も素直な気持ちを

メッセージで送った


『いきなりなんなの?

 なんで?

 星夜と離婚した事と

 あなたの事が関係するのよ!

 意味わからないわ!』


『さっきはご飯食べに

行こうな!』って言ってくれたから単純に嬉しかったのに

気分悪くなったわ

と凛子は頭に来たので

かなり感情的な文面を

送ってしまった


同級生の男性は

それでもまだ引き下がらず…

『俺が高校生の時に

 お前に気持ちを伝えた時に…断ったから

お前はこんな不幸な結婚生活を送る事になったんだ

お前は見る目がないよ』


凛子は久しぶりに

かなりカチンと頭に来た


離婚が決まるまで

自分の感情を一生懸命に

抑えてかなり大人を

していたからなのもあった


今、目の前の相手は

同級生でもあるので

全く遠慮も要らないと思える分、心置きなく

思った気持ちを

ぶつけられるとも思ったのだ


ある意味…

願ったり叶ったりの

瞬間だったのかも

しれない…


凛子は思いっきり気持ちを

解放しようと思った


『あのさ、確かに結果的に

 離婚という結末になったので、偉そうな事は言えないけど、だけどね、それは結果が離婚という形になっただけで、結婚生活がずっと不幸であったわけではないよ』


『人生は結果だけが

 全てではないと思う。

 私自身も、自分が離婚をするまでの離婚へ対する考えた方等と、

実際、離婚をし終えた自分の見え方等は、全く違うのはあるよ』


『それと、私があなたを振った事と、私達が離婚した事は何の関わりもないわよ!』


『確かに離婚になった事で、見る目がなかったと言われれば返す言葉もないわ…。』


『だけど…

これだけは言える…

星夜と結婚した事を後悔した事は一度もない』


凛子は書きながら…

心の整理整頓を

させてもらった気がした


同級生の男性はそこから

更に、意味の分からない事を

メールに送ってきたのだ



『お前の気持ちはわかった

 かなり傷ついているんだろう…

 お前寂しそうだから

 癒してやるよ』



凛子は

今までこの同級生の男性に

ここまで話が分からない

人間だと思った事は

一度もなかった


だかしかし…

今のコイツは一体全体

人の話もちゃんと

ろくに聞いてもないし

一方的に思った気持ちだけ

ぶつけてきて


更に、既婚者の方が

人生そのものに

ゆとりがあるから…

と言いたいのか?

上から目線の物言い…


更に、

離婚者の私が可哀想で

独身になって

寂しいだろうから…

あばよくば今なら

凛子の事を落とせると…

思ったって事なのか…。


あぁ〜

素直に信じて話した自分の

浅はかに…

これが既婚男性が弱みに

漬け込んで言い寄って

来る事なのかぁ…と

凛子の身にもその事が

訪れるとは…


なってみて分かる事とは

こういう事なのか…と

改めて…思い知らされたのだ


凛子は久しぶりに

人に説教

したくなったと思った

なので理詰めで

同級生の男性に淡々と

メッセージを送った


『あなたは何も分かって

 いないし、そもそも、私の

 話には興味が無いんだと

 思う。

 よーわ、誘うきっかけが

 欲しかっただけ。』


『噂には聞いた事があった。既婚男性は離婚したての弱ってるだろうと思っている女性に声をかけて、励ましついでに…あばよくば愛人に持っていくって話。』


『あなたもそのタイプかと知って心底、ガッカリしたわ。そんな人の弱みに漬け込むやり方しか出来ないのかと思ったら逆に哀れに思ったわ。』


『私は単純に心配してくれたものと思って胸の内を素直に話したのに…

こんな方向に持っていかれるとは誠に残念な気持ちで

一杯です。』


『あなたから見たら、私は寂しそうに感じたのかは分かりませんが、あなたが思う程、不安定でもありませんので、ご心配して頂かなくて

結構です。』


『そんなに愛人が作りたいのなら、もっと正々堂々と女性に声をかけられてからされてはと思います。


人間の弱さなのか?

男のずるさなのか?

知りませんが、また知りたくもない人間の醜さ、愚かさ、卑怯さを感じる羽目になりました。

いい勉強になったと思うことにします。』


それを読んで同級生の男性は

自分が思い描いていた凛子とは全く違う事に驚いていた


『お前な、ほんと

 キツイ女じゃな!

ここまで酷い言い方

されたのは初めてだ!』


かなり同級生の男性は

腹が立ったようだ


『まっ!

 元気でやれよ!』


凛子も、最後は穏やかに


『うん、そうするね

 ありがとう。』と言って

メールを終えた


なんとも…

離婚するまでも大変で

離婚してからも

こんな思いを

したりするんだなぁ〜と

改めて凛子は思ったのだった


凛子は元夫とは学生時代で

知り合ってそれで恋愛して

結婚したので

実は、付き合って別れた

経験は今が初めてなのだ


だから何もかも…

きっとこれから

起きてくる事も全て

初めて経験をする事も

多くなるだろう…

と思ったのだった


でも、今のままだと

また何かで…

良からぬ人物が

寄ってきて

今の凛子の弱さに

漬け込んで来るやも

しれない…


これはなんとか

しなきゃなぁ…と

思いながら…

同級生の男性とのやりとりに

かなり疲れ果てた

凛子であった


とりあえず…今は

ぐっすり眠ろう…


明日の朝にはまた

生まれ変われるわ!


凛子は悩む事があったり

嫌な事があった時は

こう自分に魔法を

かけるのだった


また宇宙に

聞いてもらおっと思った


こういう気分が

冴えない時は

宇宙のあの屈託のない

純粋な笑い声を

思い出すことにしているのだ



宇宙〜

おやすみ〜


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