第15話 宇宙の葛藤
先日、凛子と会って
花本さんは以前とはかなり変わって
頻度となく凛子にメッセージを
送って来るようになり
最近は電話でも話す仲に
なって来ていた
凛子の中でも
会社での事等
色んな事を日々話す相手が
いつの間にか今は花本さんが
主流になって来ていた
そんな時でも凛子はいつも
宇宙の事を想っていた
―宇宙…今どうしてるんだろう?―
宇宙と連絡を取らなくなって
三か月が過ぎようとしていた…
何度か、lineをしようとしたが…
書いては消しを繰り返し、
結局、送信しないままの凛子だった
まっ、今は
凛子がしたいと思う事を
したり、楽しんだり
しようと思った
凛子は花本さんにも
宇宙はかなり特別な存在なんだと
語る事も多く…
花本さんは…
『なんか、妬いちゃうな』と
よく言う事が多かった。
凛子は…
『妬いちゃう?』って
不思議に思っていた
宇宙はそんな次元の人じゃあない
もっともっと
凄い人なんだからって
また思っていた
夫は相変わらず、毎週のように
ネットの友人の所に出掛けて
家を空ける日々が続いた
凛子は妻・嫁等の務めは
きちんとやるべき事等やって
合間に最近は
花本さんと電話したり
会ったりして楽しんでいたので
別にこれでいいや…と
思っていた
そんな時
宇宙から
『凛ちゃん、お久しぶり~
元気にしてた?』とlineが来た
凛子もリズムよくlineを返した
『宇宙~ほんとお久しぶり
元気よ~
お仕事などそれなりに
頑張ってやってるよ~』
すると宇宙は
『凛ちゃん、もしかして、
誰かと仲良くしてたり
してる?』と送って来た
えっ??
監視カメラでも仕掛けてるのかと
思うぐらい…
的を得すぎるline来たので
凛子は驚いてしまった
凛子はなんて返事をしようか
戸惑ってしまい…
即返答を書けなくなってしまった
そんな凛子に宇宙からまた
lineが来た
『凛ちゃん、僕には本当の事を
話してね。僕と凛ちゃんは
心友でしょ。』
うん。宇宙とは心友だ。
宇宙には嘘はつけない…
つきたくない…。
だけど…
さすがに今は本当の事を言えない…
言ってはいけないと…
凛子の心の奥の方で
レッドサインが出ている
でもなぜか凛子は
そのサインを無視して
宇宙に本当の事を一部始終に
lineに書いて送ったのだ
宇宙はその文面を読んで
想像以上の内容が書いてあることに
愕然としてしまった…。
僕はなんで
凛ちゃんにこんな質問を
したんだろう…
何を期待してたんだろう…
確かに凛ちゃんが苦しい時に
僕は無視をしてやり過ごしたのは
確かだ…
だからって…これはなに?
どうして?僕の想いには
答えてくれなかったのに…
こんなどこから出来て来たのか
わからないやつと…
本当に凛ちゃんには
心底がっかりしたわ
いろいろ考えていたら
宇宙は腹の底から
怒りが込み上げてきた
そして感情が爆発したlineを
凛ちゃんに送ってしまった
『凛ちゃんが、こんな人だとは
思わなかったよ
二度と、僕とは関わらないでくれ
さよなら』
それを見た凛子は宇宙に返信すら
しようとは思わなかった…。
なんかもう…またかぁ…
どうでもいいわって思うほど
心が病におかされていて
今は宇宙に何かを書いて
わかってもらおうとか
そういう気力さえなかった
宇宙は数日間は苛立ちが
抑えられなくて
凛子から返信がない事すら
気にも留めてなかったが
2週間経っても…
凛子から返信が来てない事には
さすがに危機感を感じていた
なんで?凛ちゃんは僕に
何も送って来ないんだろう…
いつもの凛ちゃんなら
怒って返信来るはずなのに…
一か月が過ぎた…
いまだに凛ちゃんからlineが来ない…
なんで?どうして?
例の男と楽しくやってるから
僕の事どうでもいいって事?
凛ちゃんの僕に対する想いって
その程度だったんだろうか?
そもそも…
凛ちゃんは僕の事は
恋愛感情としては
好きではないって
言ってたんだから
僕は凛ちゃんには
想われてなかったって
事なんじゃあないか…
あぁ~もう知らない!
考えてたら頭が変になる!!
二か月になっても
まだ凛ちゃんから
lineが来ない…。
もう僕…。
本当に凛ちゃんの前から
消えちゃうよ…。
あぁ~イライラする…。
宇宙は気が狂いそうに
なっていた
外は桃の花が咲いている…
あれから…
三か月が過ぎようとしている
凛ちゃんにさよならとlineしてから
結局、あれからなんの連絡もない
このままだとlineを
ブロックされてしまったら…
着信拒否されてしまったら…
今度こそ、本当に凛ちゃんと
繋がれなくなってしまう…
宇宙は、自分がいつも
ブロック、着信拒否を
していた事を深く反省した
ここは素直に自分の気持ちを
line書いて送信した
『凛ちゃん、お久しぶりです。
あれからもう三か月が経ちました。
お元気でしたか?
あの時は、ひどい事を言ったり、
さよなら言って
ごめんなさい…。
よかったらまた仲良くして欲しいです。』
凛子は宇宙の事を忘れたことは
一日たりともなかった…。
凛子にとって宇宙の事はとても大切で
かけがえのない存在ではあるが
それ以上に、自分自身の人生の岐路に
真剣になって考えたり、行動したり
する事の方が何十倍も優先だった
凛子は宇宙にlineでこう書いて送った
『宇宙~お久しぶり。
またこれからも仲良くしてね』
宇宙は凛ちゃんから返事が来たので
嬉しくて飛んで喜んだ
あぁ~良かった…。
安心した宇宙はここまでの
自分の気持ちをいっぱいlineしたのだった
『もうね、いつか凛ちゃんから
lineが来るかな?って
思いながらずっと待ってたんだよ。
でもさ、一か月になっても、
二か月になっても…
三か月になっても…
凛ちゃんからlineが来ないんだもん。
僕ね、物凄く葛藤したんだよ。
苦しくて、寂しくて辛かったんだよ。
このままだと凛ちゃんともう二度と
繋がれなくなる気がして
涙が止まらなかったんだよ。
だからね勇気を出してlineしたんだよ。』
あの時の凛子は
宇宙に花本さんとの内容を読んで
どれほど心を痛めるか
想像すらしてなかった
そのぐらい凛子は
心が病んでいたのかも
知れない…
宇宙から『さよなら』と
書かれて来ても
そこまで寂しいとも
思っていなかった
いつもの事だわ…と
凛子自身思ったからなのかも…
その時の凛子は考えるゆとりさえ
なかったのだ
こんなに宇宙が
想ってくれていた事と
素直に自分の気持ちを
伝えてくれたことが
とても凛子は嬉しかった。
凛子は宇宙に
『うんうん、辛かったね。
色々悩ませてごめんね。』
と謝りのlineを送った
実はその頃…
花本さんとの関係に
終止符を打とうと
凛子自身、考えている最中だった。
凛子は宇宙にlineで質問してみた
『ねぇ~
宇宙自身が大切にしたいって
思っている相手には本音を
さらけ出したり、
心を開いたりするよね?』
宇宙は即答で
『もちろん、そうだよ。
当たり前じゃあないか!!』
凛子はやっぱり
宇宙だ!!って思った
宇宙だからこその素晴らしさって
こういう信じてるものが
似てる所なんだよなぁ…。
凛子はありがとうね。
またこれからも『仲良く』
楽しくやっていこうね~って
lineを送っておやすみなさいの
スタンプを送った
凛子の中で
色んなモヤモヤしていた気持ちが
パズルのように
組み合わさった気がした
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