第3話 友達になる
凛子はその男性に思わず
叫んでしまった。
『ふたごちゃん?』
自分でもこんな訳の分からない事を、言ってしまい頭が真っ白に、なってしまった…。
なぜか?宇宙人と名乗る男性は、顔色がどんどん険しくなって、めちゃくちゃ早口で
まくし立ててきた。
『山川さん、この世に
ふたごちゃんみたいな
存在はいませんよ!』
凛子はまさか?怒らせることになるとは思わなかったので…びっくりしてしまって
とにかく…
謝らなきゃと思い…
『すみませんでした…。』
といった途端…。
宇宙人と名乗る男性は、走り去って行ってしまった。
だけど凛子はかなり激怒されて全否定されたにも関わらず…。
心の中でクスッと笑っていた。
『脈ありかも~』って
思った。
だって『ふたごちゃん』って存在自体は否定せずに、
『ふたごちゃん』の意味合いが伝わってたから、
もしかしたら宇宙人と名乗る男性も、凛子と似てて、
何か不思議な衝撃を、受けたに違いないと思った。
それから二週間が過ぎた…。
突然…
『あのう〜先日は何も言わず
走って去ってすみませんでした。』と宇宙人と名乗る男性が照れくさそうに謝ってきた。
凛子は笑顔で
『お気にならさずとも、大丈夫ですよ〜。』とサラッと返した。
宇宙人と名乗る男性はほっとしたのか?今度は、人懐っこいくらい自分のことを、話し始めた。
名前は石田 宇宙(そら)
です。と言った。
あら…やっぱり宇宙人なんだ…って、凛子は心のなかで
クスッとした。
今日から宇宙人と名乗る男性ではなく、石田 宇宙(そら)さんと昇格したのだ。
その日から
何かあるたんび
石田さんは倉庫にやって来た。
まとめて持っていけば
効率がいいのに…何回も来たいのか?凛子と話したいとか?なんてうぬぼれて見たりもした。
凛子は石田さんに話しかけて見たいものの、なかなか
話すきっかけがなく、石田さんが話してくることに、うなづくばかりだった。
ある時…会社の食堂に凛子が
行くと…たまたま凛子の前の人が石田さんだった。
凛子はめちゃめちゃ緊張して勇気がいったが、がんばって声をかけてみた。
『石田さんって何歳なんですか?』
石田さんはきょとんとしていた。
すると…石田さんは凛子に
『何歳に見える?』と聞いてきた。
凛子は
『36歳ですか?』と聞くと…
石田さんは
44歳だよと言った。
凛子は思わず
『えっ?その年齢には見えないです。』っていうと…
石田さんは、
『嬉しいね。そんなに若く思ってくれてるんだね。』とめちゃ照れていた。
たった少しの掛け合いだったのだが、凛子はとっても
嬉しくてたまらなかった。
その後、後輩の山本さんにその話をすると、石田さんの実年齢を当てた。
えっ?なんで?わかるの?
石田さんって若いと思わない?って聞くと…
『おっさんですよ』と山本さんは当然でしょ!と言わんばかりに笑っていた。
どうやら若い子にはわかるらしい。
石田さんはいつもタバコを吸うので、喫煙の部屋で
休憩をしていた。
凛子はタバコは全く吸わないので、禁煙の部屋で間のティータイムは過ごしていた。
良くあんな空気の悪い中に居られることだわって、不思議なぐらい喫煙ルームは、窓ガラスが雲って真っ白だった。
凛子は休憩を終えて倉庫に戻って、部材の仕分けをしていた。
すると…そこに石田さんが部材をくださいと取りに来た。
『お疲れ様です。』と
凛子は挨拶をした。
石田さんも
『山川さんお疲れ様です。』と言いかけた後に、
『もし?よかったら
ライン繋げない?』といきなり言われ凛子はびっくりした。
石田さんは初めて挨拶をしあった時から、何を言ってくるのか?分からない所があるから、凛子は驚かされっぱなし
なのである。
石田さんはめちゃめちゃ無邪気な子供みたいな人で、無垢な感じなので、凄くフランクに話せるし、変な警戒心を持たなくていいので楽だった。
どのくらいの間が空いたのか?凛子には分からなかったが、多少の間はあったように
思う。
でも凛子は驚いただけで
嬉しかったのだ。
石田さんとはもっといろんな話を、気楽にしたいと思って
いたから、石田さんからの
ラインの申し出は、願ったり叶ったり、なのはあった。
宇宙人と名乗る男性から石田 宇宙(そら)さんと名前を知り
次はライン友達にまで成った。
どんどん関係性が親しくなって来ている。こんな風にゆっくり仲良くなって来ている相手は、初めてかも〜と凛子は思った。
この時の凛子には、まだまだ
石田さんの奥底に、眠っている本当の意味での秘密があることを、知らなかった。
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